種族

人間種族

ヒト

今これを読んでいるであろう画面の前の生き物と同じ種。非常に数が多く、また支配にも意欲的な人間種族の筆頭。

魔力の強さには個体差があり、どちらかといえば、使い方さえわかれば誰でも同じように扱える科学に期待している。

誰も気にしないことではあるが、一口に「ヒト」といっても、白、赤、黄、褐色、黒と肌の色は様々で、生物学的にもそれぞれ体の構造などに微妙な差異はあるらしい。これらは「人種」と呼ばれる。が、前述の通り気にする者はいない些細で論ずるだけ無駄な下らないことである。

ゲミュートのヒトにとって大事なのは、話している相手が「ヒトか」「ヒトでないか」「人間ではないか」「どこのヒトか」ぐらいだ。

パーティラ

青い肌と薄紫の髪が特徴。それ以外はヒトによく似た外見を持つ種。以前は人種の一つだとみなされていた。ヒトとパーティラを纏めて「人類」と呼ぶこともある。

ヒトに比べて魔力が強く、倍ほどの寿命があるのに10代中ごろから成長及び老化の速度が急激に低下するという、ヒトからすれば魅力のある種。この特徴を活かせば人間文化などあっという間に乗っ取れると度々言われるが、全体的に精神面が脆いため、政治や“普通の仕事”には滅多に関わらない。

100年以上充分に魔力を振り回せるパーティラには死の危険が低く、繁殖する必要があまりないのでヒトやクジャワに比べると数は少ない。その同胞と出会う確率の低さから、100歳以上のパーティラには、友人や仲間に置いて行かれるのを苦痛に感じ、身を引いて新たな人生を歩んだり後を追うように自殺する者が多い。

29歳の若さにしてセレーブロの市長を務めるリヨは、パーティラとしては稀有な存在である。

クジャワ

ヒトに次いで数の多い人間種族。鳥類由来で、非常に美しい羽を持つ。現在では鳥というよりも「鳥のようなヒト」に近い体をしているが、昔はもっと鳥に近かった。

人類が文明を持つ前から既に森の奥で“誇り高き”文化を築いており、“野蛮な生き物”によって生み出された“下等な”文化「人間」と一括りにされることを嫌うものは多い。特に種族の長にはこの意識が強く、殆ど羽が生えただけのヒトのようになってしまったクジャワの現状を嘆いている。

羽には「桔梗」「ライラック」「瑠璃」「浅葱」「緋」「牡丹色」「マリーゴールド」「蒲公英」「スノーホワイト」「スカイグレイ」「墨」「鋼」のバリエーションがある。彼らの間ではこの色に応じた精神的な地位(最高位は桔梗で、ライラック、瑠璃…と下がる)があり、物理的な立場においても能力よりこちらが優先される。極稀に緑などこれ以外の色で生まれる個体もいるが、そういった存在は家族に呪いをもたらす「呪いの子」として、産まれてすぐに森の外へ“廃棄”される。彼らに「自分の子供を捨てる」という感覚は無く、不良品を処分するぐらいにしか思っていない。“死体”に対しても扱いは同じである。

よく、「クジャワは誉め言葉で相手を貶す」といわれるが、これは事実。よほど正直な馬鹿でもなければ、彼らの陰湿極まりない振舞いには耐えられないだろう。

その他特徴として、卵生(凡そ108日で卵が出来上がり、それから約172日した頃に孵化する)、長い人差し指と中指、全身を覆う羽毛、色の濃い脚、赤~黄の瞳、ほんの少しだけ赤い肌などが挙げられる。

猫を心底恐れる種族としても知られている。単なる言い伝えであり事実ではないが、大昔に村の一つが猫による大虐殺を受けたことが原因。

ペングウェン

約300年前、海から突如ゲミュートの大地に上陸した未知の生命体。高速で水中を泳ぎ回り魚を襲うが、見た目はでっぷりとした黒い鳥である。まるでヒトのような直立が可能で、クジャワを「鳥人」とするならこちらは「人鳥」。

彼らにも人種のような差異があり、130cmはある巨大なものから、30cmしかない非常に小さなものまで種類は様々。特に巨大で恰幅のある種は、名前に古代どこぞの地域で使われていた称号「皇帝/エンペラー」が与えられている。

実はゲミュートを囲む霧の外からやってきた生き物であることが明らかになっており、一部では侵略者なのではないかという指摘もある。

普段は滅多に口を開かないが、時折「ここ(ゲミュート)は暖かい」「人類は我々の故郷によく現れる更に大きなペングウェンによく似ている」といった興味深い話をしてくれる。彼らの国にも地域差があるのか、或いは別々の国に住んでいるのか、「我々の故郷よりは涼しい」と話す種もいる。

種類にもよるが無防備ともいえるほどゲミュート人(とりわけ二足歩行をするもの)に対して友好的。初対面の折はまず相手に近寄って深々と一礼し挨拶をする礼儀正しい種族でもある。

残念ながらゲミュート語は喋れず、ペングウィッシュという常識的な言語観では習得できない音のような言葉を扱う。幸い、彼らはゲミュート語を理解してくれるので、最悪聞き取ることができれば意思疎通は可能。ただし、種ごとに強い訛りがあるので初めは難儀するだろう。

モカイ

石のような躰を持つ寡黙な種族。南洋列島で集団生活をしている。

物静かで多くを語らないことが美徳とされているらしく、彼らについて詳しいことは分かっていない。結構強面なので初めて目にする者には恐れられるが、基本的には親切であり、観光で道に迷ったときなどは助けてくれる。

平均寿命はヒトの数倍もあると推測されているが、彼らの性格と、個体の判別の難しさから正確な数値は分かっていない。

観光客に対してはゲミュート語で接するが、本来は別の言葉で喋るらしい。これについても詳しくは不明である。彼らの多くはペングウィッシュにも精通しており、彼らの生活圏では頻繁にペングウェンとの貿易などの交流が行われている。